無題

ふと前職の頃を思い出していた。

今にしても貧乏だが、あの時は本当にお金がなかった。

深夜上がり、ビジネスホテルどころかカラオケや漫喫に行く金もなかった俺は、空気も枯れだす11月の寒空の下、公園の固いベンチで眠っていた。

あまりの寝心地の悪さに3時くらいに目が覚めて、気づいたら体中蚊に刺されていた。

それから2、3時間くらいか、少しでも電車賃を浮かそうと5、6駅の距離を歩いて帰った。

贅沢なんてする余裕もなくて、食べていくだけで精一杯だった。

 

俺が思うに、幸福は金銭の有無で表すことはできないかもしれないが、幸福の土台となるのは金銭の有無である。

古今東西、ホームレスが幸せであるという話を、俺は一度も耳にした事がない。