無題

俺は外食を滅多にしない。

食に対する関心は人より薄いのだろう。

貧乏症で貧乏舌なので、大体なんでも美味しく食べられるのは、ある意味幸せな部類の人間なのかもしれない。

 

食に限らず、基本的に生活のクオリティを上げるような行動を取らない。

高い家具、高い食べ物、高い車、高い何某…ハイクラスを目指してレベルアップに邁進する人々がいる一方で、俺の生活は常に横這いだ。

家具はボロボロ、食事は水炊きの鍋か干し魚の丸焼き、車に至っては持ってすらいない。

買い物や食べ物をSNSに上げたり、ステンドグラスを部屋に飾ったり、優しげなアロマを焚いたりもしない。

 

高いものに憧れない…要は上昇志向がないのだ。

確かに俺の生活水準は決して高くないし、幸せとも言い難いだろう。

ただ悲しいかな、これ以上上げる気にもならないのだ。

詰まるところが、慎ましやかな生き方にある程度の満足…言い方を変えるなら納得しているのである。

まあこんなもんか、と。

 

高みを目指すのは素晴らしいことである。

俺はよく分からないけど、多分ね。

生活のクオリティが上がれば、必然的に自尊心も高くなるだろう。

自分の今に納得できない人間は、十分に上を目指してもらったらいいのだと思う。

ただ俺のような人間は、自己研鑽などという言葉を聞くとアレルギーで蕁麻疹が出たりなどするので、出来れば遠慮させて頂きたいという話。

まあ俺からしてみれば、住民税の督促状が来ないだけ、今も十分ハイクラスな生活だよ。

貧しくても、生活できる金があるって素晴らしいよな。